お役立ちコラム
3.182020
「墓じまい」霊園・墓地から墓石を撤去・処分する【実施編】
「墓じまい」に関する準備・費用・手続きとご説明してきましたが、ここでは実施に関する流れをご説明いたします。
「準備」をする段階で寺院や霊園へ相談した際、石材店に関することが出てきましたが、自身で調べて納得の石材店を見つけてお願いするのが一番です。大切なお墓の撤去を最後まで丁寧に心を込めて作業してくれる、そんな石材店にお願いしましょう。
■まずは石材店を決める
石材店によって「墓じまい」の予算はまちまちです。まずは複数の石材店で見積もりを取るといいでしょう。一般的にはおよそ20〜30万円ほどが相場となります。
また基本的なお墓の解体撤去はもちろん、お墓の「魂抜き・閉眼供養」を取り仕切ってくれたり、一連の作業に関する行政手続きを代行してくれるなど、石材店によっては大変頼りになります。
無料の見積もりや相談の受付をしている石材店も多数ありますので、気軽な気持ちで連絡してみるのもいいでしょう。
■お墓の魂抜き・閉眼供養をする
真宗系以外の仏教では、お墓や仏壇に故人の魂が宿っていると考えられています。そのため、「墓じまい」をする時は、必ず「魂抜き・閉眼供養」を行います。いきなり墓石を撤去してはせっかく気持ちよく眠っているご先祖様たちに大変失礼です。
まずは、ご住職・僧侶の方にお願いし「魂抜き・閉眼供養」をおこないます。時間おおよそ、数分〜数十分程度と言われています。
■お供え物
静かに眠っていた魂を起こすことへの謝罪や、長くお墓を守ってもらっていた土地への感謝など、「魂抜き・閉眼供養」を通して全てに感謝を込めてお供えをします。
〜一般的なお供え物とは?〜
・お花
・お線香
・ロウソク
・お菓子
・果物
・お酒
・ご霊膳供(小さなお椀に盛られた食べ物をお膳に用意したもの)
上記にあげたお供え物はあくまで一般的な物となります。これだけの物を並べるスペースがない場合は、出来る限りの気持ちとともにお供えできる物を揃えましょう。
また地域によって他にもお供えする物もあるでしょうし、宗派によってお供え物を並べるときに守らなければならない順番やどのように並べるかなどの様式もありますので、しっかりと確認してからお供えをしてください。
「魂抜き・閉眼供養」が終わったら、お供え物は持ち帰ります。これはお墓のお供え物を動物に荒らされないためのマナーです。またお供え物に関して不明なことは、寺院に事前に相談するのもよいでしょう。
■服装について
「魂抜き・閉眼供養」は弔事になりますので、喪服が一般的ですが、近年は平服の方のほうが多いです。
服装についても事前に寺院の方に聞いておくと良いでしょう。
■遺骨を取り出す
「魂抜き・閉眼供養」が終了したら、次にお墓からご遺骨を取り出します。この際、お墓の状況によってはご遺骨を取り出すのが危険な場合があります。
無理に自分たちで取り出そうとすると、骨壺を割ってしまったり、思わぬ怪我をすることもあります。そんなことにならないようプロの石材店の方にお願いするようにしましょう。
■ご遺骨のメンテナンスをする
長期間、お墓の中で安置されていたご遺骨は、溶解していたりカビが生えていたりすることがあります。雨水が溜まった骨壺内の水を抜いたり、ご遺骨をできるだけきれいにしてあげます。また、戦後間もない時期に埋葬されたご遺骨の場合、未火葬の場合があります。その場合は、再火葬申請をしてから火葬を行うようにしてください。
事前に火葬されていないご遺骨があるかなども、「準備」の段階で調べておくといいでしょう。
■墓石を撤去する
そしていよいよ墓石を解体していきます。解体後は撤去、お墓があった場所を完全な更地状態に戻します。更地に戻してお寺に土地を返却して終わりです。
■改葬先へご遺骨を移す
新しい墓地によっては今ある墓石をそのまま利用することができない場合があります。新しくお墓を建てることが条件であったり、そもそも区画が小さく墓石が入らない場合があるためです。墓石ごと移転を考えている場合は、墓地を契約する前に必ず確認をとるようにしましょう。
移転先のお墓にご遺骨を移したら、「魂入れ・開眼供養」をおこないます。その際、移転先によって魂入れ・開眼供養の方法が異なりますので、事前に確認しておきます。
■その他の供養方法
新しくお墓を建てない供養の方法もあります。「墓じまい」といってもお墓を撤去してしまえばおしまいではありません。次の移転先が必ず必要となります。
〜主な供養方法〜
・永代供養墓地(合葬墓)
・樹木葬
・納骨堂
・手元供養
・散骨
いくつかの方法がありますので、具体的な供養方法については次回以降にお話しいたします。
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