お役立ちコラム
10.302020
【春のお彼岸】お盆との違いや基礎知識、お参りやお供え物は?
気候も穏やかになる3月中旬に、春の「お彼岸」の期間が訪れます。春のお彼岸は「春分の日」を中心とした前後3日間、合わせて7日間が「お彼岸」の期間になります。来年2021年(令和3年)の「春分の日」は3月20日(土・祝)なので、「春彼岸」は3月17日(水)から3月23日(火)までの日程となります。
・3月17日(水)彼岸入り
・3月20日(土・祝)春分の日
・3月23日(火)彼岸明け
■お彼岸とは何か?
先祖を敬い故人を偲ぶために、「お彼岸」の時期には家族でお墓参りをしたり、仏壇に手を合わせたりします。日本の文化に定着している「お彼岸」ですが、元々サンスクリット語の「パーラミター」が語源であると言われています。
「パーラミター」は、漢字で音写すると「波羅蜜・波羅蜜多(はらみつ・はらみった)」と書き、<到達する・完成する・成就する>という意味合いがあります。仏教では、煩悩と迷いのある世界である「此岸(しがん)」にいる者が、彼岸に至るために修行する「六波羅蜜(ろくはらみつ)」をし、「彼岸(悟りの世界)」へ到達することができると言われています。
■お彼岸とお盆の違いとは?
お盆とお彼岸の違いについて、疑問に思う人は少なくないと思います。どちらも子孫がご先祖様に手を合わせ、供養する意味では同じですが、少し趣きが違ってきます。
「お彼岸」は、彼岸と此岸が一番近くなる期間に、こちらからご先祖様に供養を捧げに行くという風習です。
一方「お盆」は、お盆の期間に亡くなった人の魂が家に帰ることで、ご先祖様の魂を迎える風習です。
■六波羅蜜(ろくはらみつ)
菩薩が修める行には6種類あり、これを目指すことを「六波羅蜜(ろくはらみつ)」と言います。
1.布施(ふせ)・・・施しをすること
2.持戒(じかい)・・・戒律を守ること
3.忍辱(にんにく)・・・耐え忍ぶこと
4.精進(しょうじん)・・・すすんで努力すること
5.禅定(ぜんじょう)・・・精神を統一し、安定させること
6.智慧(ちえ)・・・真理を得ること
浄土宗では、この「六波羅蜜(ろくはらみつ)」の修行の全てが「南無阿弥陀仏」の念仏に含まれていると説いています。
■お彼岸時期のお墓参りは日本だけの風習
仏教のルーツにあたるインドや中国には、お彼岸という風習はありません。仏教を開いたお釈迦様は、元々霊魂の存在を認めていないからです。人は死後49日で別の存在に生まれ変わる(輪廻転生)か、輪廻転生の世界から解脱するか、いずれかの道へ進むとされているからです。
なので、ご先祖様がこの世に止まり、「お彼岸」や「お盆」の時期になるとこの世にやってくるというのは、お釈迦様本来の教えではなく、先述のように仏教が伝わる以前から存在していた、日本古来の先祖崇拝信仰の名残なのです。
■お彼岸になぜお墓参りをするの?
日本の文化に定着している「お彼岸」は、春は3月、秋は9月の年2回お墓参りをします。
なぜこの時期にお墓参りをするかというと、春分の日は、太陽が真東から上り、真西へ沈むことで、それによって彼岸と此岸が通じやすくなります。この時期にご先祖様の供養をすることで、ご先祖様や故人の冥福を祈ります。
一言で「お彼岸」と言っても、彼岸と此岸(あの世とこの世)が交流する行事となり、そのための場所が「お墓」なのです。
■お彼岸のお墓参りはいつ頃行けばいいのか?
春の「お彼岸」は、3月の春分の日を中日として、前後3日間合計7日間です。「お彼岸」の期間であれば、いつお墓参りへ行っても良いという考え方が一般的です。自身や家族の都合の良い日を選んでお参りすると良いでしょう。
■どんなお供え物・お花を供えれば良いのか?
地域や風習によって異なってきますが、一般的にその時に旬なお花や、故人が好きな好きだったお花を供えます。ただし、バラやアザミと行ったトゲがある花や、スイートピーやクレマチスなどツルのあるお花、毒のあるお花などは仏花としてタブーとされています。春、旬のお花なら、カーネーションやマーガレット、アイリスなどがオススメです。色合いは春らしい優しい色のお花を選ぶとより良いでしょう。
またお供物は、故人が好きだったお菓子やお酒などはもちろん季節に合わせた物や、「お彼岸」と言えばの「ぼた餅」をお供えすると良いでしょう。ぼた餅は、春に咲く牡丹の花から名付けられたもので、ぼた餅に使う「小豆」には、邪気を払う力がある理由からだと言われています。
■お墓参りに必要な服装や持ち物は?
「お彼岸」時期であればいつでもお墓参りへ行っても問題ありませんが、なるべく早めに訪れ、いつも以上に丁寧にお掃除するよう心がけましょう。
▼お掃除のための道具
・スポンジやタオル
・柄のついたブラシ
・歯ブラシ
・バケツ
・ほうき・ちりとり
・ゴミ袋
・手袋(軍手やゴム手袋など)
▼お参りの時の服装について
お墓参りの時の服装は、平服で問題ありません。ただし彼岸法要に参列する場合は、男性なら黒やダーク系のスーツなどで、女性なら暗い色のワンピースなどが望ましいです。