お役立ちコラム

「お墓本体の名称②」大半を占める今の墓石「和式三段墓」の形状はいつから?お墓にまつわる歴史

墓地や霊園にもよりますが数十年前は、同じ形状のお墓がずらりと並ぶ光景が見受けられましたが、現代では墓石を故人の趣味や意向を汲んだ形の様々なお墓が存在しています。石材を使用することに変わりはありませんが、ある程度自由に加工することができるので、少し変わった形のお墓も建てることができます。

しかし家族・一族で受け継がれるお墓の墓石といえば、「和型三段墓(わがたさんだんはか)」や「和型四段墓(わがたよんだんはか)」が現代でも主流といえます。いつからこの形が定着していったのでしょうか?

元々は、下から四角・丸・三角・半月・宝珠の石を組み合わせたお墓「五輪塔(ごりんとう)」をと呼ばれるお墓を建てることができた、支配階級・上級階級の間では最もポピュラーな形状でした。しかし、徐々に一般庶民もお墓を建てることができるようになると、家族単位でお墓を持つ時代へと突入し、墓地の区画面積が一家族ごとに狭くなっていきました。「五輪塔(ごりんとう)」のお墓を建てたくても、区画の問題から今のような四角い形状のコンパクトな「和型三段墓(わがたさんだんはか)」や「和型四段墓(わがたよんだんはか)」が大半を占めるようになっていきました。

現代でも個人供養のため「五輪塔(ごりんとう)」を建てることも可能!

五輪塔は、日本独自のお墓として鎌倉〜室町時代には全国へと普及していきました。古代インドのバラモン教を起源とする密教の五大思想に「識(識台=仏と一体になること)」を加えた空海の六大の教えに基づいた形となります。「死者を成仏させ、極楽浄土へ往生させる」救済思想がお墓に取り入れられたとされています。

五大思想とは「空・風・火・水・地」の5つのを五大と呼び、五大は宇宙の原則であり、その五大を墓石で表した形と言われています。また「空=生命・風=呼吸・火=熱・水=血液・地=骨」といった意味合いもあります。この5つの石を持って人間の体を表しているとされています。この五大思想がインドから日本へと伝わり、五大を五輪として塔という形にしたものが、「五輪塔(ごりんとう)」です。

古くから個人が成仏し往生できる供養塔として建てられてきました。和型墓石よりも長い間、形を変えることなく、現代でも建てられています。

和型三段墓(わしきさんだんはか)の意味合いは?

和式三段墓(さんだんはか)」は、棹石・上台石・下台石(芝台石)からなり、棹石はお墓の一番上にある縦長の長方形の石材です。ここの前面には「◯◯家之墓」「◯◯家先祖代々」といった家名が彫られているのが一般的ですが、宗派によっては梵字を刻むこともあります。しかし彫る文字にもこれといった規定はないため、好きな文字を刻むことができます。故人が好きだった言葉や、自分を表す1文字など、バリエーションも様々です。上台石は棹石を支える石材で、その下が中台石となります。

この棹石・上台石・中台石の3つ石を重ねることで、「天(家庭円満)・人(人望・出世)・地(財産維持)」を表しているとされています。また四段墓は、三段墓の中台石の下に、下台石(芝石)が加わったものです。

さらに、棹石と上台石の間に、蓮華台のついた「蓮華型」や伏せ蓮華(返り花)のついた「上下蓮華型」といった墓石もあります。

お墓・墓石の形には決まりがあるの?

家族単位でお墓を持つことから、自身の家のお墓が建てられたのはかなり前ということが多く、その頃は和型三段墓を建てる以外の選択肢が限られていましたが、現在お墓の形は特に規制する法律などがないため、墓地の区面内に収まればどんなお墓・墓石でも問題はありません。しかし墓地や霊園によっては、ある程度規定が設けられていたり、納骨室の大きさと形状が決められていたり、景観を損なう恐れのある奇抜なデザインはNGとしていたりと、ある程度の規定は設けられています。

また、決まったデザインの中から選ぶ場合や、石材店が指定されている場合などもよくあるので、はじめに墓地や霊園の規定内容をしっかりと確認した上で、石材店に相談するようにしましょう。いつでもお墓参りへ行けるよう、近場の墓地や霊園を希望する方も多いですが、故人がゆっくりと休んでもらうためのお墓です。希望するデザインの墓石が建てられるよう、墓地や霊園をしっかりと吟味したいですよね。

まとめ

日本国内で最も多い「和型三段墓(わしきさんだんはか)」による供養方法になってから歴史はそこまで古くなく、お墓=「和型三段墓(わしきさんだんはか)」とほとんどの人たちが思い浮かべられるほど、日本人の記憶に深く刻まれています。現代の生活スタイルに合った供養方法が多種多様にある一方で、墓石という一つの形がしっかりとあることで、故人やご先祖様を忘れることなく手を合わせられる心の拠り所は必要です。

なんとなくでもこんな形と希望するお墓のイメージがあれば、柔軟に対応してくれる信頼できる石材店へ問い合わせだけでもしてみるのもオススメです。

電話や直接お店へ行ってもうまく伝わるか不安であれば、オンラインで気軽に問い合わせができるので、迷ったらまずは相談してみてはいかがでしょうか。オンラインでの相談は、こちら

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