お役立ちコラム
7.202023
お墓の引っ越し「改葬」の手順と費用は?お墓の移転の方法と気をつける注意点を解説
もうまもなく今年もお盆がやってきますね。コロナも5類感染症へと移行され、お盆に田舎へと帰省する人も多いのではないでしょうか。帰省すると思うのが、今後お墓を自分たちが住む場所の近くに移動させようかどうしようかということです。お墓も家同様に引っ越しは可能ですが、その手順は一体どうしたらいいのでしょうか?
ここではお墓を引っ越しさせるための手順や費用などとともに、注意するポイントなどをご紹介します。
■「改葬」とは?
そもそも「改葬」とは、すでにお墓に埋葬された遺体や遺骨を、手続き後に別に新たに建てたお墓へと移動させることを「改葬」と言います。また、永代供養墓や、納骨堂、樹木葬といった別の形態のお墓に移動する時も「改葬」と呼びます。
「改葬」を希望するご家庭は少なくなく、理由として「故郷に建つお墓へお参りへ行くには遠すぎる」や「お墓を継承する人がいない」が最も多くなっています。少子高齢化の影響や地方から都市部へ上京するご家庭が増加している社会背景も重なり、これまでお墓を管理し守っていくといったことが困難になりつつあります。自分が死去した後、子ども達に負担をかけまいと、永代供養や樹木葬、散骨を希望される方も多いようです。
また、よく「墓じまい」という言葉を聞きますが、「墓じまい」は現在の墓石を撤去し、墓地を更地にして管理する方へお返しすることを指します。もちろん、遺骨もその後、別の形で供養するまでの一連の流れを「墓じまい」であると考える方が多いです。
■お墓を引っ越しするなら知っておかなければならないポイントと手順?
お墓の引っ越しで必ずしなければならない「改葬」は行政手続きが必要となります。「改葬」はすでに埋葬されている遺体や遺骨を、新たな引っ越し先のお墓へ移動されることを言います。「改葬」時、既存のお墓がある墓地と、引っ越し先となる墓地の双方で手続きが必要となります。
「改葬」を検討した時、一番に「石材店」や「改葬」する既存のお墓のある霊園やお寺などに相談します。その後、新たに引っ越し先の墓所を見つけ、移転先が決まれば新しい墓所の管理者から「墓所使用許諾証」もしくは「受入証明書」を発行してもらいます。
その後、既存のお墓がある市区町村の役所で「改葬許可証」を交付してもらいます。この許可証がないままでは、遺骨を移動させることはできません。書類の用意ができたら、いよいよ遺骨を移動させます。この時、既存のお墓で行う供養と抜魂式(魂抜き)、移転先となる新しいお墓での納骨式や開眼供養をするといった手順があります。
〜「改葬」時に必要な手続き〜
まず「改葬」する移転先を決め、移転先の墓地や霊園の管理者に「墓地使用許可証」または「授入証明書」を発行してもらいます。
次に、移転元となる今のお墓がある自治体から「改葬許可申請書」を取り寄せます。自治体によっては、ホームページから書類をダウンロードすることもできます。この「改葬許可申請書」は、現在のお墓に眠っている遺骨分必要なので、お墓に遺骨が複数ある場合は全ての遺骨の柱*分に対して「改葬許可申請書」を記入し、証明書を発行してもらう必要があります。必要事項を記入した「改葬許可申請書」を今のお墓のある管理者へ提出し、署名・捺印をしてもらうとこれが「埋蔵証明書」または「収蔵証明書」となります。署名・捺印してもらった「改葬許可申請書」を各自治体の窓口へ提出し「改葬許可証」を発行してもらいます。
*遺骨の数は「柱(はしら)」という単位を用います。
移転先では管理者へ「改葬許可証」「墓地使用許可証」または「受入証明書」を提出し、納骨する日取りを決めます。
ー移転先ー
・墓地使用許可証または授入証明書
ー移転元ー
・改葬許可申請書
・埋蔵証明書または収蔵証明書
そのほか「改葬許諾証」や「分骨証明申請書」なども必要な場合がありますので、事前に各市区町村で確認が必要です。
■「改葬」といってもいろんな種類がある?
「改葬」にはいろんな種類があります。一般的とされているのが、新たな墓所へと遺骨だけを移動させるというものです。遺骨だけ新しい墓所へ移動されるとなると、もともとあった古いお墓は墓石を撤去し、墓地を更地へと戻します。その後、「改葬」先の墓所に新しい墓石を新設します。
他には、遺骨と墓石の両方をまとめて移動させることもでき、墓石がもともとあった墓地は更地へと戻します。お墓に複数の遺骨があった場合、一部の遺骨のみを新しいお墓へと移動させることもあり、その場合は、古いお墓はそのまま残すことになります。
そして「分骨」という、遺骨の一部だけを新しいお墓へ移動させる方法もあります。その場合にはもともとの古いお墓はそのまま残ることになります。
■「改葬」にかかる費用はどのくらい?
「改葬」をするにあたり、費用が発生しますが、この費用は墓地の大きさやお墓のある地域などによって幅があります。もし田舎から都市部へとお墓を移動させるとなると、平均でお墓を新たに建てる時と同じくらい約200万円から300万円ほど必要となります。この金額の中には、元のお墓の撤去費用や改葬先の墓地の使用料、また改装に関わる工事の費用などが含まれています。
「改葬」にかかるおおよその費用は下記の通りです。
埋葬(埋蔵)証明発行手数料 | 1通400〜1,500円(一人分の遺骨につき1通発行) |
改装許可証 | 1通1,000円程度 |
墓石の処分、区画整理費用 | 1m²あたり 10万円〜20万円 |
遺骨取り出し費用 | 人 3万円〜4万円前後 |
離壇料 | お気持ち代程度(お寺の檀家だった場合) |
墓石運搬費 | 20万円〜80万円 *墓石の大きさ、移動距離により異なる |
新しい墓石代(新たに石碑を建てる場合) | 100万円〜200万円が相場 |
建墓の基礎工事、据付工事費 | 10万円〜30万円 |
お布施代(閉眼供養・開眼法要) | 5千円〜3万円程度(宗派によっては閉眼供養が不要な場合があり、お布施代も不要) |
埋葬費 | 人 3万円〜4万円前後 |
事務手数料 | 数千円が相場(墓地や霊園によりけり) |
入壇料(転移先が寺院だった場合) | 10万円〜30万円が相場 |
「改葬」にかかる費用も振り幅が大きいため、事前に石材店などに見積もりを取ることをお勧めします。実際になんとなくこのくらいと思って見積もりを出さずに「改葬」すると、後々後悔することになりかねません。
■まとめ
年々、少子高齢化がますます進み、高齢の方がお墓参りへと行きずらくなる現状と、少子化による後継者(管理者)不足で、今後も「改葬」が増えていくことが予想されます。古いお墓から自身がきちんと管理できる家の近くやそれこそ自宅で管理する手元供養に、永代供養墓に移すといったケースなども考えられます。そんな「改葬」では遺骨の取り出しから墓石の撤去・移動などで必ず「石材店」が相談に乗ってくれるので、「改葬」を思い立ったらまずは身近な「石材店」へ相談してみてはいかがでしょうか。
まずは気軽にオンラインなどから問い合わせてみてはいかがでしょうか?オンラインでの相談は、こちら